ベートーヴェン編

ベートーヴェンの家編

このロケ当時はまだドイツが東西に分かれていました。ベートーヴェンの生家のあったボンは東ドイツ側にあり、許可やその他が複雑で結局それを撮りに行くことはできませんでした。従って撮影は、ウィーンと弟ヨハンの家で行われました。ウィーンは、比較的小さな部屋で、楽譜や手紙などが飾られていました。弟ヨハンの家はクレムス郊外のグナイクセンドルフという村にあります。ヒンヤリする気候の11月で、庭に枯葉がたくさん落ちていました。家を管理する家族が素朴な感じの人たちで,娘さんは素足にサンダルみたいなものを履いていましたが、「この葉っぱを全て掃いた方がいいでしょうか」と申しわけなさそうに聞くのです。「いえ、秋の季節感があってとてもよいです」と答えると、ほっとした表情で「それならよかった。もし掃くととても時間がかかり、申し訳ないと思いまして」と言うんです。お嫁さんにしたいようないい人でした。撮影の後に自家製の白ワインを、これまた素朴なデカンターからグラスに分けていただいたのですが、極上の味でした。余談ですが、酒は地のもの。そこの土地の空気と共に味わうものということを教えられました。ベートーヴェンが作曲していたという部屋のシャンデリアが少し曲がっていたのですが、クライアントさんに、曲がりを直して欲しいと言われました。スタッフが試みましたが直りませんでしたので、そのまま撮りました。シャンデリアはミサワホームのものではなく、ヨハンの家のものですから仕方ありませんね、ということになりました。ハハハ
そういうところも、チェックなさると面白いかも。