世界の偉人筆跡カレンダー 1992年

画像をクリックすると拡大されます

1992年 Calendar  





↓クリックすると開きます

1月 ウィリアム・シェークスピア William Shakespeare

1564.4.26~1616.4.23
イギリスの劇作家。
イングランド中部地方のストラットフォード・アポン・エイヴォンに生まれる。
18歳のとき、8歳年上のアン・ハサウェーと結婚。一男二女をもうける。
最初、ロンドンの劇場で馬番をしていたと伝えられており、
後には、俳優として出演する傍ら、脚本に加筆する座付き作者を務め、
次第に独自の戯曲を書くようになった。
20年の間に残した戯曲は36篇にものぼり、劇作家としての名を確かなものにした。
悲喜劇・史劇がたくさん残され、訳され、演じられており、海外に与えた影響は大きい。
46歳の頃には引退して、故郷に土地を得、静かな余生を送った。

2月 ヨーハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ Johann Wolfgang von Goethe

1749.8.28~1832.3.22
誇り高く富裕な自由市、マイン湖畔のフランクフルトに生まれる。
恵まれた家庭で何不自由なく育ったが、彼の苦しみと闘いは、
どう生きるか、どういうふうに自分を形成していくかという内面的なものであった。
『若きヴェルテルの悩み』や、『ファウスト』などにその苦悩がよく表現されている。
彼の生涯こそが最大の傑作といわれるゆえんである。
『ファウスト』第一部は60年近くの年月をかけて完成された。
人生と芸術の集大成である悲劇の第二部は、ヴァイマルで83歳の命を閉じた後、発表された。

3月 スタンダール Stendhal

1783.1.23~1842.3.23
フランスの小説家。本名アンリ・ベイル。グルノーブルに生まれる。
父と故郷を嫌い、16歳でパリに出た。
17歳でイタリアに行き、幼少時から続いた精神の緊迫から解放された思いで、
とくにミラノを愛し、『イタリア絵画史』等を発表してイタリア自由主義に共鳴した。
しかし、そこで裏切りや失恋に遭い、絶望の心でパリに帰る。
後に、現代社会の観察や批判を題材にした
『赤と黒』『パルムの僧院』『カストロの尼』などを執筆し、
作品の中に自己の深い内面を投入した。
たびたび脳溢血の発作に襲われ、パリの路上で59歳の生涯を閉じた。

4月 ハインリヒ・ハイネ Heinrich Heine

1797.12.13~1856.2.17
ドイツの詩人。貧しいユダヤ商人の子として、デュッセルドルフに生まれる。
『歌の本』に代表される恋愛詩は、ハンブルグの叔父のもとで商業見習いをしていた頃に
味わった従姉妹への失恋から生まれた。
その清新にして平明、甘美な調べは、彼を当代第一の叙情詩人たらしめた。
その後、パリでフランスの娘と結婚するが、彼女からは恋愛の詩は生まれなかった。
放埒な生活のうちに骨髄病を病み、悲惨な晩年を送り、パリに没した。
祖国を愛しながらも祖国からは非難や誤解を受け、
彼の生涯は、矛盾と動揺に満ちたものだった。

5月 フョードル・ミハイロヴィッチ・ドストエスキー Fyodor Mikhailovich Dostoeskii

1821.11.11~1881.2.9
ロシアの作家。困窮した貴族の医者を父にもち、モスクワに生まれる。
22歳のときに文学の道に進み、『貧しき人々』を著して一躍有名になる。
『分身』『白夜』等を次々に発表したが、その間、
西欧主義思想に傾き、政府の弾圧強化によってシベリアに流刑される。
流刑後は兄と共に、傑作『虐げられた人々』を雑誌に連載した。
『罪と罰』『白痴』『悪霊』等を発表するが、最後の大作『カラマーゾフの兄弟』では、
宗教によってこそロシア及び世界が救われるという結論に達し、
またロシアの搾取者社会の実情を如実に描いた。

6月 シャルル・ボードレール Charles Baudelaire

1821.4.9~1867.8.31
フランスの詩人、批評家。
6歳で父を失い、母の再婚に悩み、成年に達するとともに遺産を得て父母と離れる。
しかし放埒な生活によって健康を害し、財産を使い果たして生活に困窮するにいたった。
36歳のとき、詩集『悪の華』を発表。
母の再婚によって母子関係から追放された心の傷と、義父、母、彼との関係の歪みが、
この『悪の華』の詩を生んだのであった。
以後は散文詩と多くの批評作品等を書いたが、病気と生活不如意に苦しみ、
ブリュッセルに滞在中、発作に襲われて失語症に陥り、パリで没する。

7月 ルイス・キャロル Lewis Carroll

1832.1.27~1898.1.14
イギリスの童話作家、数学者、本名チャールズ・ラトウィジ・ドッジソン。
オクスフォード大学に学び、同大学の数学講師をした。
『不思議の国のアリス』は、古典学者リデルの娘アリスを喜ばすために
アリスを主人公に見立て、身の回りに生きる動物や虫たちを登場させて書かれた物語であった。
その続編である『鏡の国のアリス』は、アリスを中心とした三人の娘たちに聞かせるために作られた。
なお、二作とも画家テニエルが挿絵を描いている。

8月 アーネスト・ミラー・ヘミングウェイ Ernest Miller Hemingway

1899.7.21~1961.7.2
アメリカの小説家。イリノイ州の医者の家に生まれる。
第一次大戦で、志願してフランスに渡り、のちイタリア戦線で負傷した。
戦後、通信員としてパリに赴き、処女作品集、短編集などを発表。
帰国後、ロストジェネレーションの快楽追求と幻滅を描いた『日はまた昇る』、
さらにイタリア戦線における体験を生かした恋と戦争の物語
『武器よさらば』によって作家としての地位を確立した。
また、スペイン内乱に取材してファシストと戦うアメリカ人を描いた
『誰がために鐘は鳴る』は最もよく知られている。
『老人と海』では、ピュリツァー賞、1954年にノーベル文学賞を受賞した。

9月 ロマン・ローラン Romain Rolland

1866.1.29~1944.12.30
フランスの小説家、劇作家、評論家。ブルゴーニュ州に生まれる。
37歳の頃から劇作を書き始め、『信仰の悲劇』の三部作を発表する一方、
『ベートーベンの生涯』『ミケランジェロの生涯』『トルストイの生涯』など、
一連の偉人伝を発表。
情熱的な音楽家の魂の生成史である『ジャン・クリストフ』によって、
世紀末的社会の文明、道徳に激しい批判を示し、
国際的にも名声を得て、ノーベル文学賞を受けた。
第一次世界大戦ではスイスに滞在したが、第二次世界大戦中は
生まれ故郷に近いヴェズレに病身を養い、パリ解放後、同地に没する。

10月 ヘルマン・ヘッセ Hermann Hesse

1877.7.2~1962.8.9
スイスの詩人、作家。南ドイツの小さな町カルヴに生まれる。
彼は、多くの詩人を生んだ文学的風土といえる故郷を誇りとし、
後にはスイスに国籍を移しさえしたが、故郷に対する愛着は終生変わることなく、
作品のなかに描かれた郷土と幼少年時代は、ヘッセの文学の源泉となっている。
初期の作品『ペーター・カーメンツィント』(郷愁)によって彼の名が世に知られ、
後には、ノーベル文学賞・ゲーテ賞を受賞するが
絵画や音楽にも深い愛と造詣を示した。
日本の禅に心を寄せるなど豊かな老年を生き、
85歳の生涯を閉じるまで、随想と叙情詩を書き続けた。

11月 フランツ・カフカ Franz Kafka

1883.7.3~1924.6.3
作家。ユダヤ系ドイツ人。チェコスロバキアのプラハに生まれる。
創作初期の作品『ある戦いの記録』の草稿には、
常に一歩退いて実社会と対応する、内向的で孤独な彼自身の姿が描かれていた。
また、『判決』『変身』等の作品には、外交的で現実主義であった
父親のたくましさに圧迫された彼の弱々しい精神が映し出されている。
その他にも、文学と結婚についての苦悩、
そして孤独が創作に必要であるという結論が象徴的に描かれ、
作品の中で自己を告白した。
ウィーン郊外のサナトリウムで喉頭結核のため、40歳11ヵ月の生涯を閉じた。

12月 エミール・ゾラ Emile Zola

1840.4.2~1902.9.29
フランスの小説家。パリに生まれる。
父の死後生活は苦しくなっていったが、母親は彼をまだ義務教育ではなかった小学校へ通わせた。
中学時代にセザンヌと出会い、パリで生活苦に追われたゾラの心の支えとなった。
しかし文学への道を決意してからは、
逆にセザンヌを叱咤激励し、画家への道をすすめた。
生活のためにジャーナリストを続け、社会と人間とは切り離せない事を知り、
人間の中に社会を見いだすに至ったのである。
そうして『ルーゴン・マッカール双書』は構想され、現実社会の腐敗や悲惨をえぐりだした。